「熊野古道大辺路ルートの富田坂に戻る途中の風景。潮の岬方面よりトンネルを抜けると日置川の河口付近にかかる旧国道の橋と平行している今のルート42を走りながらの景色です。日置川の輪中に鉄骨を組んだ銀色の橋や砂利置き場やアスファルト工場が見えているのが、ルート66をバイクで旅していた映画「イージーライダー」を思い起こさせるアメリカンな景色だ。時速90キロで走りぬけ次の目的地、富田に向かう。
イージーライダーの主人公たちは自由を求め旅をしていた、モーテルに空きがあるのに彼らを見るなり店の主人はノーペイカンシーとネオンで拒絶した。仕方なく彼らは焚き火を焚いて食事をし、ボロボロの小屋で一夜を過ごした。我々も彼らのように小屋を探しに熊野古道大辺路富田にやってきた。長沢芦雪が襖絵を書いた草堂寺から程近い田んぼが広がる風景にユニークな小屋を発見した。屋根の水を溜める様に周りに水瓶を置いた小屋、周りの畑の雑草を焼いた後にかける水の確保だろう。長い棒を横に寝かしているだけなのに瓦屋根という贅沢な作りになっている棒小屋、廃車になったバンに蔦植物が屋根まで絡みいいたバン小屋、たぶん物置代わりだろう。そして、小屋で一服しようと見に行くと眼鏡をかけたおばあさんが小屋かから出てきた。おばあさんは小屋の中で藁で何かしてたみたいだった。我々を見るなり「何か変わった物でもあるか」と聞かれたので、「なかなか味のある小屋なので」と答えた。棒小屋にある長い棒や杭は何で入れてあるのか聞いてみた。すると、おばあさんは「あれは なる と答えた」。なるとは・・・が成るとか言う意味かと聞くと、「なる」とは「9月の稲を刈った後に稲藁を架けておく、長い棒を3本立てて組んで使う」と教えてくれた。熊野にも味のあるユニークなマイクロアーキテクチャー(小屋)が存在していた。
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