熊野地方も今は冬である。雪が積もるとゆうことは無いが、寒さと乾燥により、草〃はいい按配に冬枯れを迎えている。そこで、我々は熊野の冬の枯野に遊びに出かけたのである。ここは、熊野古道より流れ至る、富田川の河口付近です。その昔、長沢芦雪が草堂寺に身を置いていた時に遊んだ、その当時の時間が止まっているかのような、日当たりの良い豊かな野が広がる所である。我々はその支流沿いに草堂寺へ枯野
を追って散策し始めた。川の両岸のススキは既に、からからに乾いているかのように枯れ臥している。少し行くと川の中に、何か鷺が佇んでいた。近くの木の上にもう一羽いる。ここら辺につがいで住み着いているらしく、人に慣れている様子であった。小さな橋の上から川を覗いて見ると、透き通った水の中に何か魚が沢山泳いでいた。山の方に道を折れ、草堂寺に着く。禅宗の寺である。威厳のある城壁がある。墓場を抜け、寺の裏山の上を目指す。少し山道を行くとまた、枯野にでた。山の上の方を見ると小さな御堂がある。そこまでの石段の両側も草木が枯れていい風景である。石段を上りきるとそこには、打ち捨てられたかのような御堂がひっそりとあった。和風デカダンか。いったい普段、誰がこんな寂しい所に来るのだろうか?とふと思う。何か住み着いていそうな御堂だなぁとも思った。振り返って見ると、ここからは富田の浜
や田園地帯が見渡せられる、見晴らしの良い所でもあった。我々は石段の頂上に腰を下ろし、シガーを吹かすことにした。冬であるが、日当りもよく穏やかな中のスモーキングである。方やタバカレラ・コロナ、此方、JTアルカディアを嗜む。前に広がるパノラマを眺めつつ、のんびりとしたスモーキングを楽しむ我等であった。
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